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「ぼくには数字が風景に見える」 を読みました。

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著者ダニエルさんは、サヴァンでありアスペルガー症候群という障がいを持った青年。

サヴァン症候群とは、

知的障害や自閉性障害のある者のうち、ごく特定の分野に限って、

常人には及びもつかない能力を発揮する者の症状を指す。

その代表と言うべきものが、映画『レインマン』ですよね。

この映画によって、『自閉症』あるいは『サヴァン』というものが広く知られるようになりました。

この本の著者:ダニエルさんは、レインマンのモデルとなったキム・ピークさんと同じく

数字において天才的な能力を持つサヴァン症候群のひとり。

円周率を22,500桁までを暗唱し、一躍有名になった方です。

なぜ?こんなにもたくさんの数字を暗記できるのか?

その謎が、「ぼくには数字が風景に見える」なのです。


随分と前に、「共感覚」のことをブログに書いたことがあったのですが、こちら

彼はまさに共感覚の持ち主であり、数字に色がついて見えたり風景に見えたりするのです。


数字はぼくの友だちで、いつもそばにある。

ひとつひとつの数字はかけがえのないもので、それぞれに独自の「個性」がある。

11は人なつっこく、5は騒々しい、4は内気で物静かだ

(ぼくの一番好きな数字が4なのは、自分に似ているからかもしれない)。

堂々とした数字( 23, 667 ,1179 ) もあれば、

こじんまりした数字( 6 , 13 , 581 )もある。

( 333 )のようにきれいな数字もあるし、( 289 )のように見映えのよくない数字もある。

ぼくにとって、どの数字も特別なものだ。



うわー!なんて面白い! (と、思いませんか?)

いや、でも、考えてみれば自分にも好きな数字っていうのがあるよなぁ…とふと思う。

普段はあまり意識しないけれど、例えば暗証番号を作る時とか、絵的にきれいな並びを選んだり…しますよねぇ?

しかし、この感覚が鋭すぎるせいで、彼の日常生活にはさまざまな影響を与えてしまう。


共感覚がもたらすこうした美的感覚には、よい面も悪い面もある。

たとえば、店の看板や車のナンバープレートにきれいに見える数が入っていると、

興奮と喜びでぞくぞくする。

その一方で、ぼくの美意識にそぐわない数

(たとえば店の値札に、青い色ではなく赤か緑で99ペニーと書かれているとき)

それを見ると、不安に駆られ、いたたまれない気持ちになる。


自分の得意分野で共感覚を使っているサヴァン症候群の人たちがどれくらいいるのかは、

いまだにわかっていない。

それは、レイモンド・バビットのように、

サヴァン症候群の人たちの多くが重い精神的・肉体的障害を抱えているので、

どのように共感覚を使っているかを説明できないからだ。

幸いにも、ぼくにはそうした深刻な機能障害がないので、こうして伝えることができる。

たいていのサヴァン症候群の人々と同じように、ぼくも自閉症スペクトラムに入っている。

そしてぼくはアスペルガー症候群でもある。




ダニエルさんが書いておられることは、

私にとっては、ゆうちゃんの頭の中をのぞき見る鍵をくれているようなもので、

今まで何となく感じてきたことではあるのだけれど、

ゆうちゃんには、きっと何らかの共感覚があるのだろうな…と思わずにはいられなくなりました。

ただ、ゆうちゃんには重度の知的障害があるので、(ダニエルさんが書いておられるように)

ゆうちゃん自身から、ゆうちゃんが見ている・感じている感覚を聞くことは難しい。

だから、こうして同じ障害を持つ当事者が発しておられる言葉は、とても信頼できるし、

ゆうちゃんの世界を少しでも理解するためのものになる。

ゆうちゃんが急に嬉しそうにしたり、動きが突然止まってしまったりすることは、

きっと何らかの共感覚のせいなんだろうな、と、この本を読んで確信を持ちました。

ダニエルさんの友達は数字だけれど、ゆうちゃんの友達は何だろう?

そういう風にゆうちゃんを観察すれば、

もしかしたら何か違うものが見えてくるのかもしれないな…と感じたのでした。



更に、ダニエルさんとゆうちゃんとにはたくさんの共通点がありました。

まずは保育園へ通っていたときのこと。

保育園の部屋の隅にはおもちゃのたくさん入った箱があった。

ぼくの好きなおもちゃは色のついたビーズだった。

両手で包んでふり、てのひらに当たる感触を楽しんだ。

筒状になったボール紙にビーズを入れ、それをひっくり返して、

ビーズが上から下へ落ちていく様子に心を奪われた。

ビーズを落とし、拾い上げ、また落とす、ということを繰り返した。



これ、ゆうちゃんも保育所時代、まったく同じことをやっていました。

ビーズや砂をすくっては落とし、拾い上げては、また落とす。

まさに心を奪われている様子だったのでした。



そして、ダニエルさんも、けいれん発作の経験者だった。

彼は4歳でけいれん発作をはじめて経験し、

ゆうちゃんは、生後4ヶ月でけいれん発作を経験していました。

ゆうちゃんの場合、4日間の間に11回「けいれん発作」を起こした後は、

けいれん止めのお薬を3歳まで服用していました。

この時の診断は、『原因不明のけいれん』としか聞かされなかったのですが、

この本を読んでいると、あの時の「けいれん発作」は、『側頭葉てんかん』だったのかもしれないな、と。

ただあの時は、なんせ生後4ヶ月でしたから。

もっと詳しく検査をすれば分かったことだったのかもしれませんが、

わかったところで治療法があるわけでもなく…。

生後4ヶ月の赤ちゃんを"病院たらいまわし"しなくて良かったな、って今でもそう思います。


てんかんのことについて。ダニエルさんはこのように書かれています。


てんかんがぼくの脳にどんな影響を及ぼしたのか、どんな作用をしたのかは、はっきりわからない。

幼年期のぼくの発作は側頭葉に起因していた。

サヴァン症候群の人の能力は、左脳が損傷を受けて、右脳がその埋め合わせをしようとして高められることによる、

と研究者は言っている。

数字や計算能力など、サヴァン症候群の人たち一般に見られる能力はみな右脳に関わっているからだ。



そして、てんかんについては更に興味深いことが書かれている。


ドストエフスキーも「恍惚てんかん」と呼ばれる非常にまれな側頭葉てんかんの患者だった。

彼の場合、けいれん発作はたいてい夜におき、それが全身に及んだ。

その経験があったためか、てんかん持ちの人物は彼の四作品に登場している。

『悪霊』のキリーロフ。『カラマーゾフの兄弟』のスメルジャコフ。

『虐げられた人々』のネリー。『白痴』のムイシュキン公爵。


また、作家で数学者だったルイス・キャロルも側頭葉てんかんをわずらっていたと考えられる。

大変有名な『不思議な国のアリス』は、その経験から生まれたのかもしれない。

次の文章はどんどんと落ちていく感覚を表現したものだが、これは発作にとてもよく似ている。


   止まろうと考える間もなく、アリスは深い井戸へ落ちていました。

   「おやおや」とアリスは胸の中で言いました。

   「これだけ落ちればもう階段から転げおちたってだいじょうぶ。」下へ---下へ---下へ。



てんかんと創作活動には関連性があると信じている研究者もいる。

イヴ・ラプラントはその著書『取り憑かれる--医療、歴史、芸術における側頭葉てんかん』

の中でこのことについて触れている。

彼女が挙げているもっとも有名な例は、画家のヴィンセント・ヴァン・ゴッホだ。

ゴッホはかなりの重度の発作を起こし、それによってうつ状態になり、頭が混乱し、激しい動揺を味わった。

そうした病気にもかかわらず、ゴッホは多くの水彩画、油絵、スケッチを生み出した。




もしかしたら、ゆうちゃんの創作活動についても、

この側頭葉てんかんが、何らかの影響を及ぼしているのかもしれません。

ただ、それが分かったところでどうなるわけでもない。

サヴァンだろうが、自閉症だろうが、ゆうちゃんはゆうちゃん。

ゆうちゃんに冠はいらない、と、私は思うのです。


ダニエルさんが書いておられるように…。


かつてのようなてんかん(や自閉症)と診断された人たちに対する偏見や差別は、

いまや急速に薄れてきている。とはいえ、脳に障害を持った人たちを誤解している人は多い。

てんかんと診断された子どもを持つ親のみなさんに、ぼくはこう言いたい。

その子の病状に合った教育をできるかぎり与えて欲しい、と。

いちばん大事なのは、自分の夢を持ち続ける自信を子どもに与えることだ。

夢はその子の未来をつくる大切なものだから。



私に出来ることは、ゆうちゃんに自信を与えること。

ゆうちゃんを丸ごと受け止めて、ゆうちゃんが自分の足で自分の意志で自分の人生を歩んでいけるよう、

これからもサポートしていくこと。

改めてそのことの大切さを教えてもらったのでした。


すっごく勇気をもらった一冊☆

ダニエルさんに感謝!
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2011.07.09 Sat l 本・アート・音楽・映画 l COM(2) TB(0) l top ▲

コメント

夏休みにぜひ読んでみようとおもいました、あらら、こうかくと課題図書みたいですね。
子供をまるごと受け止めてサポートする、これは本当にむずかしいですね。いろんな欲が顔をのぞかせるから。日々自分自身との戦い、修行です。
レインマン、久しぶりにみたくなりました。
2011.07.13 Wed l もにか. URL l 編集
もにかさん
「日々自分自身との戦い、修行」
ほんとそうですね。
結局は、自分自身との戦いなんですよね。
夏休みオススメ課題図書☆
何かあったら教えてくださーい^^
2011.07.14 Thu l keropaki. URL l 編集

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