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ずっと前に、『銃』という小説の感想を書いたことがありますが、

この作家さんとの出会いは、この方が書いたあるコラムを新聞で読んだ事から。

心の中で感じていて、モヤモヤしていて、上手く言葉に出来なかったことを、

びっくりするくらい核心を突いて表現してくれていたから。

「一体、中村文則って何者?」とすごーく興味を持ったのがきっかけでした。


『土の中の子供』は、芥川賞受賞作品。

そして、1977年生まれ!との年齢を知って驚きました。

てっきり、年上の方が書いたものだと思っていましたから。


私が読んだものをちょこっとだけ紹介すると…

『土の中の子供』
親に捨てられ、育ての親にも暴力、虐待を受け、土の中に埋められた幼児体験を持つ主人公。
虐待のトラウマは、自らを暴力の中に身をおいてしまう。
とてもツライ小説だけれど、
「僕は、土の中から生まれたのですよ」と、一歩踏み出そうとする主人公に救いを感じた。
 

『銃』
一見フツーの大学生なんだけど内面に深い闇を持っている。
ある時、偶然「銃」を拾った事から歪んだ内面がどんどん現れてくる…
前に書いた記事は→ コチラ


『遮光』
愛する者を失った「私」は、他人が知れば驚愕するような、恋人のある部分を持ち歩いている。
しかし、それは狂気なのか?
 (わたし個人的には究極の恋愛小説だと思ってる)
 
『悪意の手記』
自殺する変わりに、親友を殺してしまった主人公。
「なぜ人間は人間を殺すとあんなにも動揺するのか、
どうして殺人の感触はああもからみつくようにいつまでも残るのか」
死への恐怖、悪意と暴力、殺人の誘惑。
題名からもわかるように、ドストエフスキー色濃いです。
 

『最後の命』
ある出来事から、小学生の時に親友と目撃したレイプ事件にまつわる過去がよみがえる。
幼い2人の心には、異なる感覚や感情を生み、運命を変えていく。
「性暴力」をテーマにした作品。
 
『何もかも憂鬱な夜に』
「死刑」をテーマにした、刑務官と死刑囚との関係を描いた作品。
「あなたはどちらかというとこちら側の人間です」
こう発する死刑囚の言葉に揺れる刑務官。
「死刑」に反対か賛成か?どちらにしても…
「死刑」とは、「人殺しである」ということを今一度考えさせられる作品。


そして、『世界の果て』 は、初の短編小説。

これまで、ドストエフスキー色濃かった作品達ですが、

今回は、『安部公房』(実際に作中に名前も出てくる)色になってて、

私(安部公房好きw)的には、嬉しい一冊でした。

(内容はかなりムズカシイですが…


あるインタビュー記事を見つけて読んだのですが、

中村さんいわく、


「人を殺した人」が、「人を殺す」ということの真実を掴んでいるとは限らなくて。

ある程度の想像力と、細部まで見るための目がないと本質はわからないものだから、

当事者の人間が、常に本当に自分のことをわかっているとは限らない。

変な話、人を殺した人が、ちゃんと人を殺すという現象を把握できるとも限らない。



まさにその通りだな、と。

「常に本当の自分を当事者がわかっているとは限らない。」

だから、小説を読んだり映画を観たりして…、

私は私を分かろうとしているのかもしれない、と思うのです。



そして、この小説 『世界の果て』 の「あとがき」を読んで、

なぜ私がこんなにも中村文則さんの小説に惹かれるのか?が分かったのです。


以下、あとがきより

全体的にトーンが暗いのは、僕の性質なのでご容赦願いたい。

でも、世の中に明るく朗らかな小説だけしかなくなったら、

それは絶望に似ているのではないか、と個人的には考えている。

ややこしい僕を救ってくれたのは、混沌から生まれた文学だったので。

光というものは、混沌の先にあると、僕自身は思っている。




中村さんの小説って、、万人受けするものではないのだと思います。

でも、年間自殺者が3万人を超え、児童虐待、ネグレクト、子殺し親殺しのニュースが絶えない現代だからこそ、

もっと読まれるべき小説ではないかな、と思うのです。
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2010.02.10 Wed l 本・アート・音楽・映画 l COM(0) TB(0) l top ▲

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